モラハラはどこへ行きたいかより、行くことにメリットがあるかを優先する
子どもが小学生の時、下の子どもが2年連続、夏休みの自由研究で書いた絵がコンクールで入選し、副賞にサファリパークの優待券を貰って来た。
絵画コンクールの入選は素晴らしいことだが、それ以上に私は副賞の優待券を喜んだ。サファリパークは子どもの時から行きたいと思っていて、まだ行ったことがない。親に「行きたいと言う」ことを思いつかないので、提案したこともない。
喜ぶ私を見て、子どもも嬉しそうな顔をしている。
「いつ行こうか」と 夫に言うと、返事は無く振り向きもせず、テレビを見ている。
子どもの笑顔も濁る。これ以上無理に聞くと、私が夫のしたいことを邪魔をしたと 怒られることを知っている。
そして、2枚の優待券は 通帳と一緒に大事にしまわれた。
上の子が小学校上がって少ししてから、ほとんど家族で出かけたことはない。
生活費が足りないので、上の子が小学生の時から私が副業をしていて、副業を始めてからほとんど出かけなくなった。
夫と子供たちだけで出かけたら良いと思うのだけど、そう言っても「お前を置いていくわけにはいかないから」と言ってどこにも行かず、休みの日は1日家にいて、テレビやビデオを観たり、ゲームをしたりしていた。
休みの日は夫がやっているゲームを見ていることが多かった。子どもたちは携帯ゲーム機でゲームをしている。パソコンや不要になったブラウン管テレビをゲーム用に使うようになったら、それぞれ空いている機械でゲームをやる。私は得意ではないので見ていた。
子どもが二人とも小学校上がって以降 行ったのは、名古屋のプール(上の子が社会人になる前に)、結婚10周年で行った鬼怒川温泉、結婚20周年で行ったディズニーランド。結婚の記念なら、二人で行く人も多いかも知れないが、鬼怒川温泉は家族4人、ディズニーランドは義母も一緒に5人で行った。
常に他人から見て「良い人」に見えるのが思考の基準なので、結婚記念ぐらい二人で出かけようとは思わない。「結婚記念を家族で祝う、子煩悩な夫」という話題に出来るから、家族で行く。普段は子供たちと出かけても、いちいち周囲に言わないから「良い人」アピールにはならないから行かない。子どもの世話を夫一人で行わなければならないわりに、メリットが少ない。自分の得にならないから、行かない。
結婚して数年は、潮干狩りやバーベキューなど(なるべくお金がかからないお出かけに)出かけていて、楽しそうに見えた。下の子が生まれる前は夫の兄と4人で旅行もした。日常は夫の気分の浮き沈みに怯えて生活していたが、出掛ける時は思い通りになっている間は楽しそうだった。
下の子が生まれた時、すごく義母が喜び、上の子を差別し始めた。仲の良さが自慢だった義理の兄を差別し始めて、一緒に出掛けることもなくなった。
もしかしたら、その時から夫への義母の支配が再開されたのかも知れない。
発達障害あるかも知れない彼との旅行
離婚してキャンプがきっかけとなり、前から仲の良かった友人と付き合うようになった。
彼は神経発達症の診断を受けていないので、正確には神経発達症ではない。
が、自閉スペクトラム症(ASD)の特性を強く持ち、ADHDの特性も少しあるので、自閉タイプだと思っている。
特に特徴的なのは、思考の切り替えが苦手で、以前言ったことと極端に違うことを言うと 怒ってしまうこと。
以前「俺に何かあるんじゃないかと思うんだけど」と相談されて、その時は私は神経発達症ではないと診断されていたので、「考え方がとても男性的だけど、普通なんじゃない?」と答えた。医者でないと障害の診断が出来ないことも知っていたから。
私が神経発達症であると診断をされた後、「(医者じゃないと診断できないけど)自閉スペクトラム症の特性が強いよ」「ASDだと思わないと いじわるな人に見えるから、あなたはASDだと思っているよ」と話したら、「前に、違うって言ってた」「嘘をついた」と怒っていました。一から説明すれば、徐々に理解はしていく。
でも「違う」と言った言葉が頭の中で強く残っていて、そこはロックがかかっているように、切り替えできなくなっている。
私も彼も旅行というのはハードルが高い。未知のことをイメージする力が弱いからだ。出掛ける場所も、私が一度行ったことがある場所が多い。
ADHD(注意欠陥/多動症)の中には、衝動的に行動するのが得意で、計画を立てて、計画通りに行動するのに 苦痛を感じる人も多いが、
私は そこがASD寄りのようで、時間をかけてじっくりあれこれ考えて、2~4か所に絞り、実際は間に合わず、予定の半分くらい寄れれば良しといった計画の立て方をする。ADHDもあるため、寄り道をして、予定通りならないこともあるが、気にしない。
自閉タイプの彼は、最初から計画に入っていない所に寄るのが難しい。
つまり、2カ所行く予定にして時間があったら、もう一カ所行くというのは、出来る時と出来ない時があって、行けたとしても そわそわして落ち着かない。もう予定が終わっているので、帰ることしか 考えていないから、一緒に楽しむことが出来なかった。
予定を最初から4か所にしたらどうなるかと言うと、どうにか予定をクリアしようと、話も聞かずに予定に沿って行動しようとするだろう。疲れやすさから、いつもふらふらになるので実行したことはない。
予定が押してしまって遅れてしまうと、人の話が聞こえなくなるくらい焦ってしまって、手に負えなくなる。話しかけると怒る。
そのくらい、予定変更が苦手と思って良いだろう。気持ちではなく「時々 思考が切り替えられない」から。
お互いペース配分を考えることも苦手で、のんびりしすぎて時間が足りなくなるため、物足りないくらいの計画がちょうどいい。
今回の伊豆旅行も
2年以上かかってやっと宿泊先が決まり、彼の念願だった「温泉に浸かっているカピバラ」を観に行くことが出来た。(お風呂に入っているカピバラのイメージが強くて、温泉がないとカピバラを観た気にならないから、温泉をやっている時に行きたかった)
当然「相手の気持ちも考えて」なんて、無理。ASD(タイプ)は本人なりに相手の気持ちは考えているが、定型発達が望むような気遣いは、気づく能力が欠如していると思うくらい難しいことで、具体的に意思表示をした方が安心する。
今回 帰りの温泉で、濡れたタオル入れる袋がいるか、見せながら聞いたら、「あぁ」と言いながら『言われたことで あった方が良い事に気づいて、目の前にあるから取る』。自分もそういう所があるから違和感を感じないけど、他の人は「え?」って思いそうだと思って面白く思った。無言で取るのは相手を意識出来ないから。目の前の袋しか頭になくて「袋を取る」という動作に集中しないといけないから注意が向かない。
「ありがとうと言って」と言って渡せば「あぁ」と気づいて「ありがとう」と言うだろうが、「言わなくても気付いて」と思わない方が良い。彼の場合はね。