自伝23話/27 神経発達症を診断する

『加藤プラチナクリニック』は脳内科医・医学博士・小児科専門医の加藤 俊徳先生がやっている自費診療をメインとしたクリニックで、精神疾患の治療を目的とした精神科医とは少し違う。

脳の特性を生かした学習の仕方や働き方をし、本来の力を引き出すための治療。
脳の片寄りから神経発達症を診断する。問診だけでは分からない苦手さを発見し、治療に生かす。

 

 診療予約をし、病院までの移動時間や経路などネットで調べた。

 脳ドックのCDデータがあったので一応送ってみたが、情報が不足していたようで、当日に紹介機関でMRI画像の撮影をする。

 

 午前にMRIの撮影をし、午後診察。

 そして、なぜか母が行く気満々でついて来て、お昼ごはんを外食するつもりでいたようで、予約時間15分前まで探していたが、ちょうどいいお店が見つからず、しぶしぶ私が用意していたパンで軽く昼食を取る。

 予約時間15分前にご飯を食べに行くって、初めての場所で無理過ぎないか?と思ったけど、「私なら間に合うから!」と自信満々だった(笑)。

 夢中になると集中しすぎて状況を把握しなくなるので、二人で来ているとか、もう一人が食べるの間に合わないとか、5分前には着いていようとか、連れの気持ちを悪意無く考えないのは見ていて面白いが、本人が分かっていないだけに説得が難しい。

 

 無事 予約時間前に着き、複数の問診票にチェックして待つ。

 予約制のため、待合室は自分たちしかいなかった。

 

 名前を呼ばれて診察室へ

 

 

 話が聞き取れないのは、聴覚情報処理障害という脳の情報処理の障害で、

 日中でもぼーっとしてしまう、集中力がなく気が散ってしまうのは、多動を伴わない注意欠陥障害ADDであることがわかった。

 以外だと思ったのは、過集中といって興味があることは定型発達よりも集中できること。川の中に泳いでいる魚は、普通 目を凝らしても見えないらしい(鯉のような大きな魚は別)。興味が持てることなら、細かいところまで気づくことができる。

 

 私の苦手は音読とキャッチボールのように目で追っていく時に集中力が切れてしまって見失うこと。会話でも作業でも集中力が切れて、最後まで聞けない、作業の抜け漏れが発生する。

 精神的な年齢も低くて、20歳ぐらいの脳の若さ(幼さ)であることがわかった。

 

kokorokenkyu.hatenablog.com

 

 ADHDというのは、学習の弊害になる。落ち着きがなくて授業が受けられなかったわけではないが、集中力が低いので、座って授業が受けられていたとしても気が散って授業が相手の話が聞けない。聞けないから分からない。聞いてないから覚えられず、間違った行動を繰り返してしまうことがある。

 「話を聞きなさい」と言って聞けるなら怒られる前から聞いているし、ではどうすれば聞けるのかなんて、聞きたいのは怒られている本人の方だろう。

 

 では、なぜADHDは『聞けないのか』

 快楽や報酬などに関係する物質であるドーパミン

やる気や集中力などに関係する物質であるノルアドレナリンなどの脳内伝達物質の不足などによっておこると言われている。

 

 ドーパミンが少ないと、楽しいとか嬉しいと感じることは一瞬でつまらなさをいつも感じているだろうし、

ノルアドレナリンが少ないと活動が低下し、やらなければいけないことがあっても脳の指令が来ないから動けない、頑張らないと起きることさえ困難な状態になる。

 

 脳の神経伝達は高校生の時、NHKの番組のCGで見たが、ネット上では 同じような分かりやすい動画が見つからない。簡単にいうと、脳内で信号を送るとき 瞬間的に 神経伝達物資がシナプスという中継地点に放出され、出っ放しでは不都合があるため不要になった神経伝達物資を再取り込み口を使って回収している。

 ADHDの元々少なかったドーパミンノルアドレナリンを最大限利用するために、その再取り込み口に取り込まれるのが遅くなるように薬で調整することができる。

 

 薬を使わない方法としては、よりドーパミンが出るように、ノートなら気に入ったシールを使うとか何度も書いて覚える、より楽しい方法でどうしたら自分が興味を引くか、忘れなくなるかを追求することで過集中を引き出すようにする。

 慣れてくるとドーパミンの量が減っていくので、常に考えて新しいことをする。など

 

 私はナルコレプシーに近い慢性的な眠気(注意散漫)があるので、薬を処方してもらた。

 

余談

 20代から10年くらい発達障害関連の本を読んでいたので、一般的な神経発達症のことは大体知っている。

 以前「自閉症ではない」と言われた時は、きっぱり否定されたから私はグレーゾーンで分かりづらいのかも知れないと思っていたので 聞いてみたら「グレーじゃないよ~」と言っていた。

 自閉症スペクトラムの受動型やADHDの不注意優勢型は大人しい人が多いから、見た目で障害があるようには見えない。問診の質問が理解できなかったり、自分の状態が客観視できなくて「該当しない」と思ってしまい、正しく回答出来ないことで見落としが後を絶たない。

 

 私が知っている神経発達症の一番古い言い方は微細脳損傷。なぜ定型発達と大きく違うのか分からなかったため、「もしかしたら、胎児の時に、顕微鏡でも分からないくらいの小さな傷があるのかも知れない」と言う説があった。今は違う説が有力で脳の損傷という説は否定されている。

 脳は一つとして同じものはなく、個性の一つであり、神経発達症に限らず脳は多様であるということから、ニューロダイバーシティという考え方が生まれた。

 障害があるから差別する、障害では無いから優遇しないという白か黒かの二択ではなく、苦手を補って個人の能力を最大限伸ばそうという考え方。

 

 ADHDの薬は20年前は1種類で、子どもにしか適用されていなかった。

 ドーパミンに作用する薬で依存性があったため長期の服用が出来ず、落ち着きのない子供が 落ち着いて 学習ができるようにすることが目的で、短期間しか服用できなかったが、今は大人でも3種類の飲み薬があり、長期の服用も可能。

 古い本では、無意識に 本能的に違法薬物を使って自己治療しようとし、薬物依存になる人がいるというのを見たことがある。

 

 私は心の底から「望んで嫌われたい人」「他者を困らせたい人」「怒られて平気な人」を見たことがない。

 理解できない受け入れがたい現実が、そう思わせていることが多い。

 

 仕方のないことはあって、そう思うしかなくて、何も解決しない。

 虚弱も知的弱さもコントロールの弱さも、どうすることもできなくて仕方がない。

 ただ、仕方がないだけで、仕方があるのなら 見つけられるのなら、だれだってどうにかするんじゃないのだろうか?仕方のあるところまでは。

 

 自閉スペクトラム症ASD)は、ADHDと少し違う印象がある。

 ADHDは、脳の機能の不具合で行動のコントロールが難しいことが要因である場合が多いが、

 ASDは、脳の使い方が定型発達と違うような情報の受け取り方が独特で、視野、発想の狭さから「思いつかない」「イメージできない」想像できない不安が常人の想像を超える大きさである。何もかもが分からない。ある日突然知らない国にひとり放り込まれるような、不安があり、他者(親を含む)への関心が薄いこともあるので、本人も孤独なら、養育する親や家族も気付いてはもらえないという孤独を感じる。視野の狭さと状況から推察し理解することが苦手であるため、説明されないと「家族」というものが分からない人もいる(自閉っこ、こういう風にできてます!花風社 参考)。

 

 ひとりで必死に生きていることから教わることが難しい。何十回何百回教えたとしても、それに気づくことが難しいため、ASDの成長は非常にゆっくりで知的障害が無くても驚くほど常識だと思っていることが分かっていない、知らずに大人になってしまうことがある。

 例えば、火にかけた鍋を「触っちゃダメ」と注意した場合、言われた言葉だけ理解するので洗い終わって冷たくなった鍋も怖くて触れなくなったりする。フライパンは言われてないから、コンロの上にあるフライパンを触って火傷してしまったりしてなかなか物事を覚えない。「コンロの上にある調理道具は熱いことがあるから急に触らないで」と一から十まで言えば理解するが、小さな子どもだったら、急に触ろうとした時は、など、そもそも記憶力が弱いと理解しきれないこともあり、長期での養育を必要とする。

 

 感覚過敏と言って食べ物や触れるものなどに苦痛を感じる人もいる。水に触れて痛みを感じたり、色や柄に恐怖を感じたりすることがある。

 逆に、感覚の鈍麻というものもあり、ぶつかっても気付かない、疲れてい倒れるまで気付かないこともある。

 

 主にASDを指すが、神経発達症は脳の成長がちぐはぐで、いびつで、出来ることと出来ないことの差が大きい。部分的に博識で、部分的に無知で幼稚に見える。

 学校の成績や勤務態度もむらがあり、真面目なのか不真面目なのか、出来るのか出来ないのか分からないと思われたりする。

 そのため神経発達症を発達の凹凸と言ったりする。

 凹凸の 出方 引っ込み方は人それぞれ違うので、コミュニケーション一つ取ってもコミュニケーションが得意で人を引き付けるほどのカリスマ性がある神経発達症の人もいるし、苦手でコミュニケーションがうまく取れなくて困っている神経発達症の人もいる。どちらでもなく人並の人もいる。

 

 

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自伝 育児の日々で発達障害という言葉を知った - 心研究日記 (hatenablog.com)

 

精神科医YouTube 益田先生の考え方

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